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原水爆禁止2017年世界大会・長崎 参加報告

 8月7日から9日にかけて、原水爆禁止2017年世界大会・長崎に寄居原水協の代表として参加してきました。

 私は、原水禁大会には2010年(広島)以来、何度か参加したことがありましたが、今回の大会は、国連での核兵器禁止条約の採択(7月7日)を受けての大会ということで、非常に活気に満ちているように感じました。


運動を諦めずに続けることの重要性


 初日の開会総会では、核兵器禁止条約の採択を受け、運動を諦めずに続けることの重要性が共通して指摘されていました。

 主催者報告で安斎育郎さんは「一人ひとりは微力でも無力ではない。そのなによりもの証明は核兵器禁止条約である」と発言し、日本被団協の木戸さんは発言の冒頭で「やっとここまできた。歴史をつくるのは市民である」と述べ、これまでの運動を振り返りました。沖縄県統一連の瀬長さんは「沖縄県民にとっても希望です。諦めずに行動を続ければ願いはかなうことを証明した」と指摘し、アメリカの「ピース・アクション」のジム・アンダーソンさんは「粘り強く核兵器廃絶を世界に訴え続けた被爆者に感謝したい」と発言しました。


「核抑止力」論のごまかし


 2日目に参加した、第4分科会「憲法9条守り、憲法生きる日本を」では、東京慈恵医科大学教授の小沢隆一さん(憲法学)が、「『核抑止力』論は巧妙に組み立てられたウソ」と指摘していました。核兵器が戦争で使用されたのは広島と長崎のみであり、原爆投下後も日本は降伏せず、ソ連の対日参戦を受けて初めて日本が降伏したことから、実際のところ核兵器は実用性のない兵器だとのことでした。それにもかかわらず、核保有国が核兵器に固執する背景には、核兵器を保有しないと大国になれない、という思い込みがあるが、今回122ヶ国と市民社会の力で核兵器禁止条約が採択されたように、世界政治の力関係が変わってきているなかで、そのような考えは時代遅れになりつつあることも指摘していました。

 また、3日目の閉会総会で発言した、韓国の全国民主労働組合総同盟のハン・ソクホさんは「北朝鮮の核開発は、日本の改憲問題に利用されるだけである」と指摘していました。この指摘を聞き、核抑止を理由に核兵器に固執する国や、核開発に走る国、「平和安全」と称して集団的自衛権を行使できるよう法律を整備する国などを見たとき、建前では平和や安全、防衛を語るけれど、確実に平和から遠ざかり戦争に近づいていることがはっきりした気がしました。


核兵器禁止条約の採択はゴールでなくスタート


 閉会総会では、また、「ビッグサプライズ」で核兵器禁止条約の国連会議の議長を務めたエレン・ホワイトさんからメッセージが届きました。ホワイトさんはメッセージで、核兵器禁止条約の採択は「終わりではなく、条約をできるだけ早く発効させるため努力が必要」と述べ、さらに「みなさんに励まされ、大いにやる気になっている。皆さんと同じ思いでいる。条約の履行に向けて引き続き皆さんのリーダーシップに期待している」と市民社会の運動を高く評価していました。


今日の聞き手は、明日の語り手


 今回の大会では、お二人の被爆者の方のお話を聞く機会がありました。

 閉会総会では、3歳の時に被爆した松谷英子さんのお話を聞きました。爆心地から2.45㎞の自宅の縁側で遊んでいたところ、突然の爆風で、吹き飛ばされてきた屋根瓦が頭を直撃し意識を失ったそうです。担ぎ込まれた救護所は重病者が多く、医者からは「この子は生きているのか。死んでいたら承知しない」と言われながら見てもらったが手の施しようがなく血止めの処理のみで返されたそうです。頭の傷口は深さ5㎝におよび周りは腐り、ふさがるまでに2年かかり、それを見た医者は「原爆は本当にこわい」と言ったそうです。その間寝たきりで、記憶も6歳以降しか残っていないそうです。その後、右半身のマヒが残り、歩く練習をし、小学校入学を1年遅らせたが、いじめられ、辛い思いをしたそうです。高校でそろばんを勉強し、被爆者の方のお店で32年働けたそうですが、「核兵器は悪魔の兵器。長崎を永遠に最後の被爆地にしないといけない」と語りました。

 また初日の青年交流集会「Ring! Link! Zero!」では、0歳の時に被爆した日本被団協の和田政子さんが、親から聞いた自身の被爆体験を語りつつ、「今日の聞き手は明日の語り手」と述べ、人よりよく知ったならそれを周りに広げていってほしいと話していました。


日本政府を核兵器禁止条約に参加させよう


 残念なのは、安倍首相が、平和祈念式典でのあいさつで核兵器禁止条約に触れず、その後の記者会見で、条約への参加について「核兵器国と非核兵器国の隔たりを深め、核兵器のない世界の実現をかえって遠ざけるける結果となってはならない」として、「我が国のアプローチと異なり、署名、批准を行う考えはない」と発言したことです。これには被爆者も「どこの国の総理か」と怒りの声を上げています。

 事実は、核不拡散条約(NPT)体制の下で、「核兵器のない世界」をつくるということを核保有国も含め合意していたにもかかわらず、それを裏切ってきたのが核保有国であるということです。安倍首相の言葉を借りれば、「核兵器国と非核兵器国の隔たりを深め、核兵器のない世界の実現を遠ざけ」てきたのは核保有国の側であり、そういう歴史を経て核兵器禁止条約が採択された今、安倍首相の上記の発言はいよいよ世界の進歩から置いていかれているなと感じました。

 ただし、核兵器禁止条約に日本政府を参加させる道は開かれています。安倍政権の下での参加は難しくても、条約に参加する政府をつくれば、条約を通じて「核兵器のない世界」を実現する上で、大きな力となります。

 今回の原水爆禁止世界大会は、核兵器禁止条約への各国政府による調印が始まる9月20日から国連核兵器廃絶デーの26日までの間、「平和の波」行動として、多彩な行動への取り組みを広げようと世界へ呼びかけました。被爆者の方の思いを継いで、核兵器禁止条約採択という世界の流れも力にして、「ヒバクシャ国際署名」の運動などを取り組んでいきたいと思います。


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小森純一郎(地区ホームページ委員会)


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